丹波立杭焼 市野 秀之

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市野 秀之

丹波立杭焼 

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市野 秀之

丹波立杭焼 

ではまずこの業種に携わるようになったきっかけを教えて下さい。

僕らの時代っていうのは生まれた瞬間からもう選択肢がないんですね。家族の中で僕が長男だったので、親父からその兄弟、祖父祖母、そしてその兄弟からも「お前は後継ぎや」と言われ続けて生きてきたのでもう疑う余地なくやっていました。ただ後を継ぐうちの長男は今五代目なんですけども、彼が高校生の時に僕は「別に後継がなくてもいいんだよ」と出来るだけ自由な選択肢を与えました。それは心の中で何か重みを感じてやるんじゃなくて、この仕事面白いなと思ってやって欲しかった。そしたら「それでも親父やるわ」と言ってくれました。

つまりここ丹波焼は地域的に家業として継ぐのがほとんどなんですね。その後継ぎという問題は現状どうなっていますか?

丹波立杭陶磁器協同組合というのがありまして、丹波焼産業全体で窯元が57,8件のうち約50件がその組合に入っています。窯元の規模が小さく纏まっていて、その分組合も皆で一つになっています。その中で後継者の問題がないかと言われたらゼロではありませんが、全国的に比べたら少ないと思います。産業によっては3割4割、酷い産業だと半分以上の後継者不足に陥っているところもあり、うちではまだ2割くらいですね。

そういった地域性の高い産業を広める為にホームページを開設するというのも各産業で続々と行われていますが、ご自身はどのようなきっかけで作られましたか?

僕がおそらく丹波焼の窯元の中で一番早くホームページを開設したと思います。25年も前に自分で立ち上げたんですが、何でかというとそれは性格で流行りよりも先に自分でやりたいと思っていたからなんです。だから参考書とかを買って調べて、一から全部自作しました。

そういったホームページ開設の効果や反応はありましたか?

効果は後からついてきましたね、お客さんも目に見えて増えました。

ホームページには英語での説明もありました。その効果で海外の方々からの反応に変化はありましたか?またこれには海外の方への集客の意味もあるんでしょうか?

数年前からインバウンドだとかでちらほらと丹波に来て頂いたりしています。ただそういった海外の方の観光の受け皿がまだないというのが現状です。あとここは不景気になると「国内で売れないなら海外へ」という考えでよくお声をかけて頂ける産地なんです。ただ僕の個人的な考えですが、こうした工芸品をわざわざ海外へ販売しなくても工芸品の内需は十分にあると僕は思っています。だからこそそこに労力を削ぐより、国内で販売している方が手数料、出荷準備など何から何まで抑えられるんです。あと器って僕は人の顔を見て商売するもんやという考えがあるので海外じゃ中々そういうのが出来ない。始めから国内での販売に割り切っていたので海外進出とかインバウンドにあまり興味はないです。

その他の窯元でも同様に丹波焼を海外へ販売していないんですか?


まだないですね。ただいわゆる職人さんなどではなく個展等をする作家さんとかになると海外の展示会に作品を出す人もいます。しかしそうしたことがきっかけで海外の顧客と商売するということもほぼないですね。

雅峰窯の商品を見ると他の窯元の丹波焼よりも鮮やかでポップな印象を受けました。そういった商品の差別化というのはどのようなことを意識して作られてるんですか?

僕は物を作るときに考え方を二通り持っています。地元で見てほしいのか外で見てほしいのか。そこで自分のブランドを分けるんです。外で売るなら丹波焼全体として販売することが出来ますが、ここへ来るお客さんは丹波焼の中で見比べますよね。だからこそピンポイントなものやポップなものを作って、他の窯元と差別化を図らなければいけないんです。

世の中のニーズに合わせて商品もポップになったりとどんどん新しくなっていっていると思いますが、新しい商品を作る中でここだけは譲れないというこだわりはありますか?

使い勝手が良いことですね。民藝(民芸)運動の父とも言われた思想家 柳 宗悦さんが 器を美術的に楽しみながらも必ず実用的でなければならない とおっしゃったように、私も実用陶器というのを第一に考えながら作っています。 

この業種に携わり丹波立杭焼の内外で様々な変化があったと思いますが、ご自身の中で印象に深い変化というのはどんなものがありますか?

僕ら側がそれを手掛けたという例もあります。35年前までは景気が良かったので美術的で高いものを売ろうと言う考えの作家さんが多かったんですが、時代の変化でそういったものが売れなくなっていき、より実用性の高いものを作ろうという風に変わっていったんですね。なのでもう食器類をあまり買わない高年齢層をメインにするのではなく、これからも食器類を買っていただける若年層向けの器も販売するようになったんです。

雅峰窯

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