京扇子 大西 里枝

ホームページやECサイトを開設された経緯はなんですか?

うちは小売り屋とか問屋だとかに卸すことが非常に多かったので、対消費者に対して直接物を売るっていうのはあまり良しとされてないんですね。だけどコロナ禍でそういった小売り店がほとんど売り上げなくなってしまって、自分たちで売り上げに行かないといけないって言う風に業界も傾いてきたんです。それならばECサイトとかホームページを整えて直接お客さんの注文に対応できるようにしようとしたのが始まりですね。そのおかげでお客さんからのお問い合わせも増えて、取材も増えました。

そういったECサイトなどのネット経由やお店で直接海外の方々からの注文はありますか?

そもそも扇子の文化がある国というのは世界的に見て物凄く少ないんですね。日本や中国、ヨーロッパならフランス、スペインといった数ヶ国しかなくて、まず扇子の用途も分からないといった方が非常に多いんです。なので今までは京扇子業界での海外進出は上手くいってなかったんですが、今はその海外に販路を持っている会社に対し卸して海外に向けて広げていくという形をとっています。

ものづくりにおいて大切していることは何ですか?

扇子を買ってくださったお客さんに嫌な思いをしてもらわないようにしっかり検品をしたり、お客さんの目線で商品を見てみるということを徹底してやっています。お客さんにとってはその一本が全てなので、思いを裏切らないようにしっかり一つ一つを意識して作っています。あとは軸をブラさないといいますか、扇子の素材や技術を使った路線で外れ過ぎないような商売を準拠してものづくりをしています。

京扇子に携わってきてどのような難しさが見えてきましたか?

分業制がゆえに色々な職人さんと関わってくという難しさはあります。もし問題が起きても責任の範疇が曖昧になってしまったりするのでそれをうまくコントロールしなければならないんです。あとは竹と紙という工業製品ではないデリケートな素材を使っているので非常にロスが出やすいといったところも難しいですね。


最後にご自身の今後の目標を教えて下さい。

私達は100年先の未来に京扇子の美しさと技術を伝えるということを念頭に置いて事業をしています。今は京扇子の生産量も減少してきて需要も掘り返さないとといった状況なので、私達は伝統文化を志す若い先生方にお稽古場として大広間を格安でお貸ししています。そもそも京扇子が令和の時代まで生き残れてきたのはその時代の文化に寄り添って変化してきたからなので、私達もその現代文化に合わせ、扇子を販売するだけじゃなく使う側も応援できるように頑張っていけたらなと思います。


インタビュー内容を一部改変し、簡略化させて頂いています。

大西常商店

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