奈良筆 田中 千代美

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田中 千代美

奈良筆

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田中 千代美

奈良筆

まず始めにこの奈良筆に携わろうと思ったきっかけを教えて下さい。

奈良筆に携わるようになる始まりは40年近く前になるんですが、その頃にはもう結婚していて子供もいました。その時に家で出来る仕事というのを探していたんですが、たまたま国の事業として行われていた伝統工芸後継者育成の教室がありまして、それに参加したのがきっかけですね。

その後はどれくらいの修業期間を経て店を構えられましたか?

会社の中で非常勤の社員として技術を学んでいました、家でしたかったんですけどとても家では出来なかったですね。奈良筆というのは分業せず全てこなさなきゃいけないのでとっても覚えることが多いんです。なので結局10年間修業を経て独立しました。

この業界に入られた頃と現在とでは様々な違いがあると思いますが、筆の作風にはその現代化に伴って変化した点はありますか?

ありますね、実は筆にも結構流行りがあるんです。もちろん筆にも様々な形があるんですが、有名な書道の先生が この形の筆が良い っていったらその形の筆が書道界で流行ったりします。

他産地で作られる筆と奈良筆とではどのような違いや差がありますか?

奈良筆を含めて四産地の筆が国の伝統工芸品に指定されているんですが、作り方がやはり異なりますね。産地によっては分業で行うところもありますが、奈良筆は一から最後まで一人で作る上機械もほとんど使いません。

作り方が産地によって異なるとのことですが、その産地の違いで素材は変化したりしますか?

素材自体は変わらないですね、ただ同じ毛でもその選定方法は異なるんじゃないかなと思います。特に奈良筆は相当厳密な選び方をしていて、素材のランク付けというのが一番最初の仕事なんですけども、それを任せられるのに10年もかかりました。同じ毛を使用していても筆の値段に差があるのはそのランクが異なるからなんですね。ただそのランク付けが出来る職人が今ではほとんどいないんです。

素材を選定する職人が相当減少したとのことですが、奈良筆の職人全体でもそういった後継者不足の問題はあるんですか?

それはもちろんありますし、職人が増えて欲しいとは思います。ただ10年間弟子として修業してもその10年先に筆が残っているかどうかっていうのも心配ですし、原料が動物の毛なのでそこまで良いのが入ってこないし値段もどんどん高くなってきているんです。だから職人さんがまず弟子をあまり取らないので後継者不足になっているんです。

そういった動物の毛がどんどん高価になってきているとのことですが、今はその動物の毛をどんな方法で入手していますか?

昔はそういった動物の毛を取り扱う素材屋さんが奈良にも一件あったんですがもう廃業してしまって、今は海外から輸入したりや筆の有名な産地 熊野筆 にまだある素材屋から購入しています。

その動物の毛の中でも海外の獣毛と国産の獣毛とでは品質にどのような差がありますか?

例えば、イタチ毛で言いますと国産の材料は海外の材料に比べると短いのですが、毛に力があって材質が良いので値段が高くなってしまいます。

動物の毛を海外から輸入することもあるとのことですが、この奈良筆を海外の方が購入したりすることはありますか?

主に、奈良筆づくり体験が多いですが、海外の方が筆を購入されることもあります。筆の本場の中国の方にも購入して頂いていますが中国も筆の職人が少なくなっているようです。

ここ奈良筆田中さんのホームページがありましたがそれはどういった経緯で開設されましたか?

行政や様々な人から 作った方がいいですよ というような助言があって開設に至りました。開設後の反応としては女性の筆職人というのが珍しくてメディアの方に何回か取り上げられました、それを見た方がここに訪れたりもしましたよ。

奈良筆 田中

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