京和傘 木下 基廣

何か販路拡大の為にされていることはありますか?

ディズニーとのコラボだったりとかはしてますけど実は販路拡大で特別何かしてたりはしないんですよね。世の中の和傘屋がなくなればなくなるほど私たちに勝手に注文が増えていくので。逆に販路拡大をしてこれ以上注文数が増えても生産が追いつかないんです。

ホームページやネットショップ、SNSなどをされていましたがそれをするきっかけは何ですか?

インターネットが出たときにこれは時代が変わるだろうと。インスタグラムもタダですし、世界中の人たちが見れるので。今までの時代ではそういうものは一切なかったですからね。使わない手はないです。

それをしたことによる変化や反応はありましたか?

今までは知る人ぞ知るという感じだったのが、そのネットの情報を見て多くの方が知ってくださいました。それで知った方が観光でここに訪れて和傘を購入しはるケースが相当増えましたね。ECサイトでも外国の方々から注文を受けることもとても多くなりました。

販売の方法というのは先代と自身の代とで比較し変わったことはありますか?

前の代では和傘の売り上げが年々減少傾向にあったので和傘屋とお土産屋を併設して切り盛りしていたんですが、自分の代で和傘一本にしました。周りを見ていて専門店に特化する方がより生き残れると感じたからです。そしてそれまでは路面で店を構えていたんですがネットの普及を鑑みて今のビルの七階に移動しました。路面に店を構えると修学旅行生や中国人観光客などの購買率の低いお客さんが大量に入ってきて接客しないといけなくなる。すると人件費が上がったりや社員が疲弊してしまうんですね。七階に店を構えると本当に興味を持っている人か買う人しか来ないので接客が楽になるんです。その変化で路面の頃より売り上げは倍以上伸びました。

今では和傘以外の様々な傘が世に出回っていますが、その和傘にしかない良さというのを教えて下さい。

それはもう日本の伝統文化であるという点ですね。昔の日本人は100%和傘を持っていましたし、その伝統を継承しているというのが良さなんじゃないですかね。

京和傘はこれからの将来どのようになっていくと思いますか?

僕が生きているうちに数件にまで減るでしょうね。ただ自分達は300年以上の歴史があるのでそのなかでも生き残れるだろうと、なので若い子を育てて普通にやっていけば問題ないかなと思います。小さい所からどんどんなくなっていってその分の注文を残りが受けるようになると今後ここが一強のようになっていくかもしれない。

その他の伝統産業でも言えることなんですが人を雇う 育成するっていうのは経営者にとって莫大なリスクなんです。もし三年かけて給料をあげ人を育てていたのに、三年後 やっぱり合わないんでやめます って言われたら今までの時間や費用が全て無駄になる。これが怖くて皆出来ないし、小規模なところでは難しいですね。これがなくなっていく最大の原因かなと思います。


最後にご自身の今後の目標を教えて下さい。

400年先を目指してゆっくりと確実にやっていくだけですね。簡単には言っていますが計り知れない努力が必要だなと思います。土台をきっちりした上で新しいことにもチャレンジして、勿論若い子もしっかりと育てていくということですね。


インタビュー内容を一部改変し、簡略化させて頂いています。

辻倉

tujikura

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