
ではまずこの業種に携わるようになったきっかけを教えて下さい。
私がこの家の長男として生まれてきたので、特に何もなくそのまま家業として赤膚焼を継ぎましたね。
現在キャリアは何年目ですか?
30年くらいですね。
30年間この赤膚焼に携わってきて未だに難しいことや課題はありますか?
天然由来のものを扱っているのでその難しさはありますね。何かを解決してもまた次の課題が出てきたりどんどん新しい課題が生まれてくるので尽きることはないです。
この窯元に訪れるお客さんというのは一日に何人ほどですか?
2.3組ほどですね、それ以上になるとお客さんとじっくりお話が出来ないんです。焼き物が好きでここに来てくれていることを私は縁があると思っているので、お客さんが数年後かにまたこちらに来てもらうための関係性を築いて次に繋げるのが重要だと思っています。
そのような赤膚焼を購入される方々の客層というのはどのような分布になっていますか?
昔は高齢の方がおおかったんですが、今は30~50代の方々が多いです。単純に陶器に興味を持って下さって買う方と奈良は観光地なのでそのお土産という理由で買う人が多い印象です。ただ一番少ないのは10~20代の方々ですね。
そのように世代が時代と共に移り変わるにことによって商品のデザイン等も現代化してきているとは思いますが、その際にどのようなことを意識して作られているんですか?
お客さんの声を聞くことですね。時が経てばもちろん需要も変化するのでそういったお客さんの声を聞いて作っていくことが大事かなと思っています。ただ400年の赤膚焼としてあまりにも逸脱したようなものは作らないようにしています。

他の陶磁器にはないご自身の赤膚焼の強みや魅力というのはどんなものがありますか?
普通の焼き物というのは作るときに分業化されているので全ての素材を一から作っているという人はほとんどいないんです。釉薬や薪やら土やらを全て自分の窯元で作っているのは全国的にみても私達だけやと思います、それが強みですかね。
そのように自作で作られている土や釉薬を作るうえでのこだわりというのはどんなものがありますか?
科学的なものや合成的な素材を使わず、自然由来のものを自作で作るようにしています。
そのご自身で作られたものと科学的なものとでどのような違いや差がありますか?
それはもう明らかですね。自分達の土や釉薬、焼き物にマッチするように作っているので作品の出来上がりに相当な差が生まれます。

正人窯
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