京扇子 大西 里枝

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大西 里枝

京扇子

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大西 里枝

京扇子

京扇子の家業を継がれるようになったきっかけを教えて下さい。

京扇子っていうのはずっと生産量も売上高も減少傾向にあって、両親も自分たちの代で終わりにしようと思っていたので私に継がせる気持ちは全くなかったんです。なので両親からは特に何かを言われはしることがなかったのでそのまま某電気通信会社に働いていました。実は私、実家が扇子屋っていうのは恥ずかしいことだと昔は思っていたんです、しかし会社に勤める中で仲間から 実家扇子屋なのかっこいいね とか 継がないの? と言われたのがきっかけで扇子に対する考えを見つめ直し始めました。私の勤めていた会社がとても移動の多い会社で子供もいたのでこのままでは上手く人生を組み立てることが出来ないと思い、実家に帰り京扇子を継ぐことにしたのが始まりですね。

昔はこの会社が元結というものを作っていたのが、元結の産業の衰退と共に京扇子に入られたと拝見しました。当時にどのような理由があって元結から京扇子に入られたんですか?

それは簡単な理由で、元結の仕入れ先とお得意先が京扇子と一緒だったということですね。どちらも和装小物のジャンルでどちらも紙を使うものだったのでそれを理由に京扇子の産業に入ったんです、それが大正二年からになります。

京扇子の産業全体を昔と今で比べてみて変化した点というのはどんなものがありますか?

後継者がとても少ないので高齢の方が年金を貰いながらやってたりだとか、むりくり80歳までやられている方が多くなったことですね。今はまだ三十年前とかと比べて大きな高低差はないですが、これからは京扇子の産業全体が後退していくと目に見えて思います。

特に京扇子っていうのは分業制であることが大きな要因ですね。分業制のメリットって言ったら生産量を多く保てることなんですが、今はその生産量に合うほどの需要がないので、時代を重ねるにつれてそういった分業制も廃れていくんじゃないかなと個人的には思います。だから多能工の人だったり、江戸扇子のような作家性の人がどんどん生まれていくと思いますね。

数年前から始まり現在にも続くコロナ禍でどれほど影響や打撃を受けましたか?

売り上げで言えばコロナ以前からの昨年対比で半減したという状況ですね。月によっては八割減少した月もありました。

そのコロナ禍の対策としてされたことはありますか?

うちはルームフレグランスを力入れて販売していて、それが凄くコロナ禍では良かったですね。コロナ禍で家の中のものに対しての需要が高まって、扇子は家の中ではなくて外で使うものというイメージから離れてルームフレグランスを販売したことの影響は大きかったです。だからコロナ禍はどのようにしてルームフレグランスを売るかという戦略を立てて動いていました。なのでうちは半減で済んだという考え方ですね、売り上げがそれより落ちたというところはもっと多いと思います。

もう一つの変化として私達は普段、重要度が高くて優先度も高い仕事をやらざるを得ないんですが、コロナ禍になってから重要度が高くて優先度は低い仕事にも取り掛かれるようになりました。重要度が高くて優先度が低い仕事っていうのは結構ありまして、例えば今までは時間がなくて在庫管理を紙ベースでやっていたけど、コロナ禍でそれをクラウドに載せ替えたりだとかそういった内部の仕事に取り掛かれました。

扇子の販売以外にも投扇興や貸家など様々なことをされていますが、それはまたどういった意図で?

扇子って消耗品でもないし一年で壊れるものでも大量に買われるものでもないので、中々京扇子一本でいくというのは難しいんです。投扇興とかっていうのは原価がかかるものではないから原価率を調整しながらお金を得られるという点は私達にとっても凄く有り難かったです。なので私達は扇子だけでなくレンタルや体験などの売り上げも出すことでリスクを分散するというやり方を取っています。

大西常商店

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